採択企業紹介⑤ 地域の力で切り拓くカーボン認証とネットゼロ共同プロジェクト- Agrabah Ventures Inc. × Naga College Foundation, Inc.

Agrabah Ventures Inc.とNaga College Foundation, Inc.の共同チームが、カマリネス・スール州カラモアンおよびナガ市のスタッフとともに能力向上と交流のセッションを開催し、地域レベルでの気候変動対策に向けた協力体制と知識の共有を強化した場面

 

1. なぜこの事業に取り組もうとしているのか

世界中の国々が「2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)」を目指していますが、最も大きな課題は「測定できないものは管理できない」という点です。

フィリピンでは、大企業は証券取引委員会(SEC)のガイドラインに基づき、毎年、サステナビリティ報告書の提出が義務付けられています。しかし、国内の企業の99.6%は中小・零細企業(MSME)で、2023年時点で1,246,373社のうち1,241,733 (99.63%)社がMSMEです(フィリピン貿易産業省調べ)。

これらMSMEによる温室効果ガス排出量は、実際にはほとんど把握されていません。Agrabah Ventures Inc.(Agrabah)の推計によると、MSME全体で年間約7,000万トンのCO₂が排出されていると考えられていますが、公式なデータはありません。これはフィリピン全体の排出量(2020年は2億トン超)のかなりの割合を占めます。

この「見えない排出量」はフィリピンだけでなく、ASEAN諸国でも共通の課題です。多くの国でMSMEが経済の中心ですが、彼らのカーボンフットプリントはほとんど記録されていません。

こうした課題を受け、Agrabah(ASEAN Business Awards 2023 Net Zero Awardを受賞)は、現地の事情に合ったカーボン計測・削減・オフセットの仕組み「ネットゼロ政策フレームワーク」を開発しました。これは企業だけでなく農業コミュニティにも使える仕組みです。

また、Naga College Foundation, Inc.(NCF)の研究・研修・開発センターは、科学的な調査と現地データの収集・検証を担当し、地域の持続可能な気候対策を後押しします。

 

2. 共創事業内容

QUESTでは、地域に根ざしたカーボン認証・クレジット制度の実証を目指しています。農家や中小企業が自分たちの温室効果ガス削減活動を「見える化」し、認証・収益化できる仕組みをつくることが目的です。

Agrabahの自然を活かした気候対策の専門性と、NCFの研究力を活かし、科学的かつ地域の実情に合わせたカーボン測定・報告・検証(MRV)モデルを設計しています。これにより、地方自治体や地元企業が参加しやすい制度づくりを進めています。

この取り組みは、政策主導・科学的根拠・包摂性を重視し、地域レベルでのカーボン会計や取引を身近なものとし、気候変動に強い地域づくりを目指しています。

JICA QUESTの一環として、農場のカーボンクレジット認証に向けた審査を進めている様子

 

3. 誰と実施しようとしているのか(共創パートナーの紹介)

このプロジェクトは、共創パートナーであるNaga College Foundation, Inc.に加えて、フィリピンの多様な関係者が協力して進めています。主なパートナーは以下の通りです。

  • サンホセ市(パルティド)の地方自治体
  • ナガ市の地方自治体
  • カマリネス・スール州カラモアンの海藻養殖コミュニティ
  • メトロナガ商工会議所(MNCCI)

これらのパートナーは、政策・学術・民間企業・地域コミュニティが連携する「包摂的なネットゼロ移行」の基盤となっています。

カマリネス・スール州サンホセ町(パルティド地区)のJerold Peña市長に対し、Agrabah Carbon+プロジェクトの初期説明を行っている場面。左から、Ms. Jayzel Asido, Mr. Jun Ocol, Mayor Jerold Peña, Ms. Jojo Gumino-Ocol, Dr. Regina Valencia, and Ms. Jennifer de Jesus.

 

4. 一般の方へのご協力のお願い

Agrabah–NCF共同プロジェクトは、単なる実証実験ではなく、「誰もが参加できる測定可能な気候アクション」のムーブメントです。政策設計、地域自治、研究、そして生業のイノベーションを結びつけることで、すべての中小企業や農業コミュニティが低炭素経済への参加を実現できるよう目指しています。

私たちは、研究機関、地方自治体、企業、開発団体の皆さまがこの取り組みに参画し、共にスケールアップしていくことを期待しています。地域の強さや創意工夫、持続可能性への思いを反映した「カーボンエコシステム」を、フィリピンからASEAN諸国のモデルとして築きましょう。

データを行動へ、政策を成果へ、地域を気候チャンピオンへ。皆さまのご参加を心よりお待ちしています。

カテゴリー: News

採択事業紹介④ 精密育種で守るモンゴルの大地―カシミヤヤギ育種プロジェクトの挑戦 株式会社セツロテック × 住友商事株式会社

モンゴルでの現地調査の様子


1. なぜこの事業に取り組もうとしているのか

セツロテックは、徳島大学の教員であった竹本龍也と沢津橋俊らが開発したバイオテクノロジーを産業へ実装するため、2017年に設立された徳島大学発のスタートアップ企業です。2019年からは、従来の「優れたオスとメスを掛け合わせる」統計的な育種法に代わり、遺伝子を化学的に直接書き換え、品種改良を進める「精密育種」という新しい技術に取り組んできました。

この技術を活用し、モンゴルでカシミヤヤギの品種改良を通じて砂漠化を止めたいというお客様からのご要望があり、名古屋大学等と共同で技術開発に着手しました。特許出願を経て、精密育種の技術が確立し、モンゴルでのプロジェクトも本格化した矢先、コロナ禍の影響でお客様の経営方針が変更となり、プロジェクトから撤退されることとなりました。

しかし、セツロテックはこのプロジェクトの価値を信じ、自社研究としてカシミヤヤギの開発を継続することを決定。その後、住友商事と資本業務提携を結び、現在も本プロジェクトを推進しています。

 

2. 事業内容

モンゴルは世界のカシミヤ生産量の約半分を占める一大産地で、カシミヤヤギの頭数は近年2500万頭近くまで増加しています。しかし、ヤギは草を根こそぎ食べる特性があり、砂漠化の一因とされています。モンゴル政府も国家戦略「VISION2050」の中で砂漠化対策を重要課題と位置付けています。

そこで私たちは、カシミヤヤギの精密育種によって、一頭あたりの生産価値を高める品種改良に取り組んでいます。モンゴルのカシミヤは15~18μmほどの繊維径ですが、13~14μmの「ベビーカシミヤ」と呼ばれるブランド繊維は、数倍の価格で取引されています。精密育種技術を活用し、より細い繊維を生産できるヤギの開発を目指しています。

ただし、ヤギの精密育種は収益化までに時間がかかるため、短期的な事業プランとして、育種プロセスに関連する「遺伝子検査事業」の事業化も調査しています。育種業界では、遺伝子型による選別手法「マーカー育種」が活用されていますが、モンゴルのヤギにもこのサービスを提供できないか検討中です。

また、モンゴル国内でカシミヤヤギの開発を進めるため、本プロジェクトに共感しご支援いただける現地投資家の方々も募集しています。


モンゴルのカシミヤヤギ

 

3. 誰と実施しようとしているのか(共創パートナーの紹介)

共創パートナーである住友商事株式会社は、世界63か国に127拠点を持つ総合商社です。同社のアグリイノベーションユニットは、農業・畜産分野における持続可能な発展と技術革新を推進しており、次世代の食料生産システム構築に取り組んでいます。

住友商事は、精密育種技術に着目し、2022年11月にセツロテックと資本業務契約を締結。現在は、ニワトリ・ブタなどの畜産動物や、酵母・酵素などの微生物を中心に、様々な分野で精密育種による事業開発を進めています。本プロジェクトも昨年から協力体制を構築し、住友商事のモンゴル・ウランバートル事務所のメンバーも加わり、現地の産官学パートナーとの調整や交渉を進めています。

 

4. 一般の方へのご協力のお願い

セツロテックでは、精密育種技術を様々な生物に適用し、高付加価値・高生産性の農畜産物や食品・化学品生産に挑戦しています。新商品の開発や生産のアップデートなどのニーズがございましたら、精密育種を活用したソリューションをご提案できるかもしれません。ぜひ一度、私たちとディスカッションし、新たな課題解決の可能性を探ってみませんか。


モンゴルのカシミヤヤギの集団

カテゴリー: News

【開催報告】JICA共創×革新プログラム「QUEST」キックオフ交流会(3拠点同時開催 東京・名古屋・オンライン)

JICA本部でのJICA共創×革新プログラム「QUEST」キックオフ交流会集合写真

 

■ 交流会開催報告

2025912日(金)、JICA本部(東京)、JICA中部センター(名古屋)、およびオンラインにて、採択事業者を対象としたJICA共創×革新プログラム「QUEST」キックオフ交流会を開催し、採択事業者やJICA関係者を含め合計約40名が参加しました。

 開会にあたり、JICA中部センター所長の上町透氏よりご挨拶をいただきました。その後、各採択事業者によるPoC(実証実験)計画の発表と質疑応答が行われました。

JICA本部でのJICA共創×革新プログラム「QUEST」キックオフ交流会の様子

 

交流会は、東京・名古屋・オンラインの3拠点を同時に接続し、各採択事業者が順番にPoC計画を説明しました。各会場から採択事業者同士やJICA職員による活発な質疑応答が行われ、また採択事業者間のビジネス連携についても話題があがり、有意義な交流の場となりました。

閉会にあたり、JICA企画部参事役の田中伸一氏よりご挨拶をいただき、東京会場ではその後ネットワーキングも実施されました。

 

JICA共創×革新プログラム「QUEST」キックオフ交流会集合写真(オンライン)

 

JICA共創×革新プログラム「QUEST」キックオフ交流会の様子(東京)

 

QUEST」では、20261月にデモデイ(一般公開イベント)の開催を予定しております。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

 

■ 今後のスケジュール

PoC(実証実験):20258月~12
出口戦略検討・デモデイ:20261


ご質問がございましたら下記までご連絡ください。

 

お問い合わせ

QUEST事務局:quest-info@tohmatsu.co.jp
受付時間:9:30 -18:30 平日のみ、日英対応

カテゴリー: News

採択企業紹介③ 日本発の発達支援とAI技術で切り拓く、ベトナムのこどもたちに未来を届ける共創プロジェクト – NPO法人発達わんぱく会×エフバイタル株式会社

ベトナムのこどもたちへの支援とそれを撮影する様子

 

1. 共創事業立ち上げへの思い

私は、これまでベトナムの発達障害のあるこどもたちと関わる中で、その素直で愛らしい姿に強く惹かれてきました。しかし、日本では当たり前に受けられる発達支援が、ベトナムではほとんど届いていないという現実に直面しています。保護者の方々は、わが子の成長や将来に大きな不安を抱えながらも、どこに相談し、どのような支援を受ければよいか分からず、途方に暮れている方が多いと感じています。

病院や大学、そして保護者自身が療育施設を立ち上げていますが、施設数はまだ少なく、専門的な知識を持つ人材も圧倒的に不足しています。効果的かつ効率的に支援者を育成する仕組みの導入は、極めて重要です。

発達わんぱく会は、日本の発達支援の現場で実践を重ね、人材育成の仕組みを磨いてきました。エフバイタルは、新しいAI動画解析技術を開発し、発達障害のある幼児の発達状態を「見える化」することで、療育現場での効果的かつ効率的なアセスメントを可能にします。

日本で培った専門性と最新技術を組み合わせ、ベトナム現地の支援者が自律的に子どもと保護者を支えられる社会の実現にチャレンジします。

 

2. 共創事業内容

本事業では、発達わんぱく会が日本で15年にわたり培ってきた発達支援の実践ノウハウと、エフバイタルが開発したAI動画解析技術「Baby Track®」を活用し、ベトナムの療育機関・支援機関と共に、発達障害のある子どもたちのための新たな支援の仕組みを共創します。目指すのは、現地の支援者が自律的かつ継続的に子どもと保護者を支えられる体制の構築です。

具体的には、ベトナム・ハノイの特別支援機関を拠点とし、心理士・保育士の養成機関と連携してPoC(実証研究)を実施します。まず、現地支援者や学生を対象に発達支援に必要な基礎知識の講義を行い、その後、アセスメントや支援計画の作成を学ぶ実習に取り組みます。さらに、AI動画解析デバイスを活用して療育セッションを撮影・解析し、子どもの発達状態を見える化し、この解析結果をもとに、支援者自身が実践を振り返り、支援の質を高める仕組みを導入します。

また、困難な事例への対応力を高めるため、現地支援者と発達わんぱく会の専門職が共同でケース検討を行います。エフバイタルのAI技術による定量的な発達データと、日本で蓄積された質的な支援ノウハウを組み合わせることで、短期間で効果的な人材育成を実現します。

最終的には、このモデルをベトナム国内の特別支援機関ネットワークへと展開し、3年間で1万人の子どもと2万人の保護者に質の高い発達支援を届けることを目指します。

ベトナム ハノイでの学生向けの講義の様子

 

3. 共創パートナーの紹介

本事業は、日本とベトナムの複数の機関が連携して取り組みます。エフバイタル社は、特許を有するAI解析デバイスを提供し、子どもの発達状態を客観的に可視化し、支援者に有用な情報を提示する役割を担います。また、ベトナムの特別支援機関は、子どもや家庭を対象とした実践の場として重要な役割を果たし、実際の支援活動と技術を結び付ける基盤となります。さらに、ハノイ医科大学は心理士養成課程を活かし、将来の支援人材の育成に寄与します。これらのパートナーがそれぞれの強みを持ち寄ることで、先進的な技術と実践的な教育が融合し、現地に即した実効性の高い支援と人材育成のスキームを確立していきます。

ベトナムホアビン省 自閉症向け施設でのイベントの様子

 

4. 一般の方へのメッセージ・協力依頼

この事業は、ベトナムに暮らす発達障害のある子どもたちとその家族が、安心して暮らし、のびのびと成長できる社会を実現するための挑戦です。現地では支援体制が十分に整っておらず、保護者は深い不安を抱えながら日々を過ごしています。私たちは、日本で培った発達支援の専門性とAI動画解析技術を組み合わせ、現地の支援者が自律的に子どもと保護者を支えられる仕組みづくりに取り組んでいます。

この活動を成功させるためには、より多くの方々のご協力が必要です。ぜひ私たちと一緒に、ベトナムの子どもたちの未来のためにご支援・ご協力をお願いいたします。現地での活動に直接関わっていただくことはもちろん、興味のある方をご紹介いただいたり、周囲への広報や情報拡散、寄付など、さまざまな形での応援も大変心強いです。皆さま一人ひとりのお力が、この事業を大きく前に進めます。

カテゴリー: News

採択事業紹介② ガラパゴスから世界へ 生物多様性と地域経済を守る挑戦 – 株式会社坂ノ途中×株式会社バイオーム

アプリBiomeを使った環境教育ワークショップの様子(ボリビア)

 

1.なぜこの事業に取り組もうとしているのか(事業立ち上げの思い)

地球規模で生物多様性の損失が加速しており、このままでは食料や水資源、気候の安定など、人類の生存基盤が大きく損なわれる可能性があります。その影響として、年間44兆ドル規模の自然資本の損失が発生する恐れがあるとも指摘されています。
エクアドル共和国に位置するガラパゴス諸島は、世界遺産であり、約9,000種の固有種を有する生物多様性のホットスポットとして知られています。しかし、外来種の侵入、観光圧力、農地拡大、気候変動といった複合的な要因により、UNESCOからも「世界で最も脆弱な自然遺産の一つ」と警告を受けております。特に農業分野では、持続可能性の低い農法や経済的に不安定な小規模農家の現状が、環境保全と地域経済の両面において負の影響を及ぼしている状況です。
こうした背景を踏まえ、環境保全と生計向上を同時に実現するモデルの構築が求められております。本事業では、ガラパゴスのような象徴的な地域において、コーヒー生産を対象としたアグロフォレストリー(森林農業)の手法を活用し、生物多様性保全型の農業モデルを実証いたします。この取り組みを通じて、科学的データを伴う成果を示し、他の島嶼地域や農村地域にも展開可能なモデルを構築することで、生物多様性保全と小規模農家の収入向上を両立する未来を目指してまいります。

 

ガラパゴスの農園の空中写真

 

2. 何を実施しようとしているのか(事業内容)

本事業では、エクアドル共和国ガラパゴス諸島の小規模コーヒー農家を対象に、アグロフォレストリー型コーヒー生産を導入し、その効果を科学的に検証するPoC(概念実証)を実施いたします。
具体的には、株式会社バイオームが独自に開発した生物多様性モニタリングアプリを活用し、希少種の出現状況や鳥類・アリ・哺乳類などの指標種数、植生の多様性や階層構造、シェードカバー率、緑地連続性など、複数の指標を定量的に記録いたします。これにより、アグロフォレストリーが生物多様性に与える貢献を可視化することを目指します。
また、生産されたコーヒーについては、株式会社坂ノ途中が「生物多様性に貢献するコーヒー」としてブランディングを行い、日本国内のコーヒーロースターに販売します。この取り組みにより、小規模農家は安定した収益を得ると同時に、生物多様性保全に主体的に関わることが可能となります。
最終的には、このモデルを同様の課題を抱える生物多様性ホットスポットへ横展開し、環境保全と経済発展が両立する仕組みを広げていくことを目指しています。

 

アプリ使用シーン

コーヒーを乾燥させている様子

 

3. 誰と実施しようとしているのか(共創パートナーの紹介)

本事業は、京都発のスタートアップ企業2社により実施されます。
株式会社坂ノ途中は、日本国内において環境負荷の少ない農産物の販売を手掛けるとともに、海外から仕入れたスペシャルティコーヒーを日本のロースターに販売する事業を展開しています。同社は、持続可能な農業の推進や小規模農家支援に関する豊富な実績を有しており、エクアドルの現地パートナーや農園とのネットワークも保有しております。
株式会社バイオームは、独自の名前判定AIを活用した生物多様性モニタリング技術を有しており、スマートフォンを活用した簡易計測から高度なデータ解析まで幅広く対応可能です。同社は既にボリビアなど南米地域での導入実績があり、アプリのスペイン語対応も進めているため、ガラパゴス諸島でのフィールド実装において高い即応性を発揮できると考えています。

 

4. 一般の方への協力依頼等があれば

本事業は、ガラパゴス諸島という世界的にも象徴的な地域において、生物多様性保全と小規模農家の生計向上を同時に実現する挑戦的な取り組みです。このモデルを確立するためには、日本および国際社会からの資金的・技術的・市場的な支援が不可欠であると考えています。
特に事業の横展開にあたっては、国際機関や企業の皆様に対し、助成金や協賛による資金提供、サステナブルコーヒーの販路拡大へのご参画などを通じた長期的なご支援をお願い申し上げます。
ガラパゴス諸島での成功は、世界中の同様の課題を抱える地域に波及効果をもたらす可能性を秘めております。また、消費者一人ひとりの選択が、環境保全と地域発展の未来を形づくる力となります。この循環に多くの方々にご参加いただけますよう、心よりお願い申し上げます。

カテゴリー: News

採択企業紹介① 日本式医療と先端技術で切り拓く、バングラデシュの心疾患ケア革命-株式会社ジェネラス×株式会社MITAS Medical

株式会社ジェネラス 伊藤 晃氏 途上国での診療の様子

 

1. 共創事業立ち上げへの思い

私たちはこれまで、バングラデシュでのリハビリテーションや保健分野の調査を重ねる中で、日本の医療サービスが現地でも大きな価値を提供できると確信しました。
特に心血管疾患は、現地で主要な死因の一つであり、患者の生活の質を大きく損なうだけでなく、術後の健康に深刻な影響を及ぼしています。しかし、適切なフォローアップやリハビリの機会が乏しく、それが再発や早期死亡につながっている現状を目の当たりにし、「何とかしなければ」という強い使命感を抱くようになりました。

今回、Questという実効性のあるチャレンジ機会に出会い、温めてきた構想を実行に移す後押しを得ました。また、調査を進める中で、医療インフラの整備が進む一方で、多くの人々が正しい医療知識や健康習慣を持たない現状にも課題を感じています。
私たちは、バングラデシュで適切な健康寿命を整えることが、患者やその家族、そして地域社会全体が笑顔で暮らせる未来につながると信じています。それこそが、この事業に情熱を注ぐ理由です。

 

2. 共創事業内容

私たちは、バングラデシュにおける心疾患患者、特に術後患者のケア体制を強化し、非都市部でも機能する心疾患検診支援システムを確立します。
主提案企業である私たちは、日本式急性期心臓リハビリテーションの知見を基盤に、現地医療機関の実情に合わせた包括的ケアモデルを設計。さらに、自社開発の脈拍および心電図を測定できる先端ウェアラブルデバイスを提供し、院内サービスのみならず、院外の都市部・非都市部を問わず患者の状態を継続的にモニタリングし、潜在患者のリスクを早期発見できる環境を構築します。

共創企業は、取得した生体データをクラウド上で一元管理し、解析・共有を容易にするICTシステムを提供します。このシステムにより、医療従事者はいつでも安全かつ効率的に患者データへアクセスでき、診療や経過観察の質を向上させることが可能になります。

本事業を通じて、術後の再発予防や早期発見を実現し、患者の健康寿命を延ばすとともに、医療従事者の負担軽減と地域コミュニティ全体の医療水準向上を目指します。

 

3. 共創パートナーの紹介


株式会社MITAS Medicalの途上国での活動の様子

MITAS Medicalは、日本発のヘルスケアスタートアップとして、スマートフォン対応のモバイル型医療機器や遠隔眼科相談サービスシステムを通じ、世界中で誰もが質の高い診療を受けられる環境づくりに取り組んでいます。
遠隔診療と医療データ活用を強みとし、今回の事業では現地医療機関と密接に連携し、心疾患患者のフォローアップ体制や検診環境を都市部・地方問わず強化していきます。
本事業を通じ、日本の技術と現地の知見を融合し、患者の健康寿命延伸と地域社会全体の医療水準向上を目指します。

 

4. 一般の方へのメッセージ・協力依頼

本事業は、製品の技術進歩だけでなく、「現地の人々の生活を変えたい・良くしたい」という私たちや共創企業の思いによって形になっています。
バングラデシュでの導入・普及を加速させるため、以下の分野でのご協力を広く呼びかけます:

  • 資金的支援: 製品の品質改良、輸送、現地スタッフ教育、遠隔診療環境整備などに活用します。
  • 人的協力: 医療・リハビリ・IT分野の専門家や教育プログラム開発に携わる人材。
  • 連携パートナー: 技術やノウハウを共有し、事業を共に推進できる企業・大学・自治体など。

皆さまの協力は、心疾患患者や潜在的な心疾患患者の早期発見だけでなく、バングラデシュで十分に浸透していない「リハビリテーションの重要性」を広める活動にも直結します。現地では、心疾患や脳梗塞など重篤な疾患を発症しても、適切なリハビリを受けられず社会から離脱せざるを得ないケースが多くあります。本事業はこの現状を変え、患者が日常生活や社会活動に復帰できる環境づくりを後押しします。

これらの取り組みは、地域社会の医療水準向上へとつながり、皆さまの力が国境を越えて重要な社会実装を進める原動力となります。
どうぞ、日本の優れた医療技術を途上国に還元するこの挑戦に、共にご参加ください。

 

■ コンタクト先

伊藤 晃/ Akira Ito
株式会社ジェネラス/  Generous Co., Ltd.
460-0012  愛知県名古屋市中区千代田二丁目16番28号 グラシア2号館4階
リハビリテーション・予防医学研究部門/ Department of Rehabilitation and Preventive Medical Research
主任研究員・理学療法士/ Principal Investigator  ・ Physical Therapist
アドレス:ak-itou@generous.co.jp
携帯番号:070-3348-7632

カテゴリー: News

QUESTアイデアコンペ最終ピッチ審査会の動画が公開されました

2025年7月31日東京及び愛知(名古屋)で開催されたQUESTアイデアコンペ最終ピッチ審査会のイベント動画が公開されました。是非ご覧ください!

 

■QUESTアイデアコンペ最終ピッチ審査会(オープニング~ピッチ①)

https://youtu.be/8Id2Bo7Rhp4

■QUESTアイデアコンペ最終ピッチ審査会(ピッチ②)

https://youtu.be/BvNGPlHeInE

■QUESTアイデアコンペ最終ピッチ審査会(ピッチ③)

https://youtu.be/l51Bdi1HS7w

■QUESTアイデアコンペ最終ピッチ審査会(ピッチ④~クロージング)

https://youtu.be/4wye0rzkY8I

カテゴリー: News

JICA共創×革新プログラム「QUEST」アイデアコンペ最終審査が行われ、採択事業が決定しました!

2025731日、東京都千代田区のTokyo Innovation Baseおよび愛知県名古屋市のSTATION Aiにて、JICA共創×革新プログラム「QUEST」アイデアコンペが開催されました。

国内外から集まった多様なアクターによる共創事業の提案が行われ、計20件のピッチが実施されました。審査員3名による質疑応答も活発に行われ、白熱した議論が繰り広げられました。

結果、最終審査を通過した採択事業が以下の通り決定しました。

 

「QUEST」アイデアコンペ採択9団体(順不同)※採択後1団体辞退

採択事業者 地域 事業概要
Agrabah Ventures Inc. / Naga College Foundation, Inc. フィリピン・マレーシア等 地域主導の海藻養殖で炭素クレジットを生成し、地球規模の気候変動緩和を支援
FiberCraze株式会社 / Tropical Infectious Diseases Research & Education Centre (TIDREC) マレーシア・インドネシア等 デング熱やマラリアなど蚊媒介感染症予防に特化した高機能性繊維製品の開発
NPO法人発達わんぱく会 / エフバイタル株式会社 ベトナム 発達支援に関する専門性とAIによる動画解析技術を活用した自閉症支援の人材育成
SheaPure NG / 東北大学大学院工学研究科 / 株式会社アクロス東北 ナイジェリア 伝統的なシアバター生産に超臨界流体技術(SFT)を導入
株式会社ジェネラス / 株式会社MITAS Medical バングラデシュ 心電図・脈拍測定とデータを管理するITシステムによる遠隔心臓リハビリと疾病予防体制構築
株式会社セツロテック / 住友商事株式会社 モンゴル モンゴルのカシミヤヤギの品種を改良し、高付加価値なカシミヤが生産できるヤギの開発
株式会社坂ノ途中 / 株式会社バイオーム エクアドル アグロフォレストリーによるコーヒー栽培と生態系モニタリングを通じたガラパゴス諸島の生物多様性保全と小規模農家の生計向上事業
国立大学法人九州大学 / Guan株式会社 / Roi Jai Rak Project タイ エピゲノムを活用した新しい種子の改変技術を用いて、世界の食料問題を解決
独立行政法人国立高等専門学校機構 香川高等専門学校 / モンゴル日本共同技術高等学校 モンゴル 日モンゴル宇宙教育連携プロジェクト ーCubeSat教材と成層圏気球実験による国際共同教育の実践ー 

 

今後のスケジュール

PoC(実証実験):20258月~12

出口戦略検討・デモデイ:20261

 

この度は、多くのご応募をいただき誠にありがとうございました。

QUEST」では、20261月にデモデイ(一般公開)の開催を予定しております。ぜひご参加いただければ幸いです。

 

お問い合わせ

QUEST事務局
quest-info@tohmatsu.co.jp

 

カテゴリー: News

【当日のプログラムが決定しました!】 JICA共創×革新プログラム「QUEST」アイデアコンペ

731日(木)に東京と愛知で開催されるJICA共創×革新プログラム「QUEST」アイデアコンペ(オンライン配信あり)のプログラムが決まりました。

【オーディエンス申込フォーム】

申込期限: 730日(水)12:00JST

参加申込はこちら

JICA共創×革新プログラム「QUEST」 アイデアコンペ オーディエンス参加申込フォーム

 

既に200名近くの皆さまにオーディエンスとしてお申込みいただいております。

国内外の民間企業、アカデミア、公的機関、市民社会など、多様なアクターによる共創アイデアがどのように社会課題解決を目指しているのかを直接目にする貴重な機会です。

引き続きオーディエンス申込を受け付けしておりますので、ぜひお気軽にご参加ください。

カテゴリー: News

【審査員をご紹介します】 JICA共創×革新プログラム「QUEST」アイデアコンペ

7月31日(木)に東京と愛知で開催されるJICA共創×革新プログラム「QUEST」アイデアコンペ(オンライン配信あり)の審査員が決定しました。以下に審査員の皆さまをご紹介します。

【審査員のご紹介】

柏木 真由子 氏
KDDI Green Partners Fund エキスパート
近藤 千華 氏
国連開発計画(UNDP)TICAD連携専門官
内藤 智之 氏
神戸情報大学院大学 副学長

既に200名近くの皆さまにオーディエンスとしてお申込みいただいております。

国内外の民間企業、アカデミア、公的機関、市民社会など、多様なアクターによる共創アイデアがどのように社会課題解決を目指しているのかを直接目にする貴重な機会です。

引き続きオーディエンス申込を受け付けしておりますので、ぜひお気軽にご参加ください。

【アイデアコンペ概要】

■ 日時: 7月31日(木)14:30~19:00(JST)

■ 会場: 東京・愛知同時開催 / オンライン配信あり / 同時通訳あり
東京会場: Tokyo Innovation Base(東京都千代田区)
愛知会場: STATION Ai(愛知県名古屋市)

■ 内容: QUESTファイナリストによるピッチプレゼンテーション

■ 愛知会場限定特典: ピッチ会場横にネットワーキングブースを設置!地元の人気コーヒースタンド「IMOM」さんが登場。松田さんによるハンドドリップコーヒー(無料)&軽食をご用意しております。ピッチ参加の有無に関わらず、ぜひお気軽にお立ち寄りください!

■ ファイナリスト20団体

日本語 https://quest.jica.go.jp/ic-finalists/

English https://quest.jica.go.jp/en/ic-finalists/

■ オーディエンス申込フォーム
申込期限: 7月30日(水)12:00(JST)
参加申込はこちら
JICA共創×革新プログラム「QUEST」 アイデアコンペ オーディエンス参加申込フォーム

皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

カテゴリー: News