採択事業紹介⑧日本の先端技術とアフリカの大地が生み出す、持続可能なシアバター革命 SHEAPURE LTD × 東北大学大学院工学研究科 × 株式会社アクロス東北

SHEAPURE LTDのAisha Rilwanu氏の活動(ナイジェリア)

 

1. なぜこの事業に取り組もうとしているのか

SHEAPUREプロジェクトを始めた理由は、日本の最先端技術とアフリカに豊富にある天然資源を結びつけ、地域の可能性を広げたいという思いからです。ナイジェリアは世界最大のシアバター生産国で、全体の55%を占めています。多くの農村女性たちがシアバターの生産に携わり、その生活を支えています。

しかし、従来の加工方法では品質や効率に限界があり、世界市場での競争力を高めることが難しいのが現状です。そんな中、SIH JICAプログラム[1]を通じて東北大学渡辺研究室の「超臨界流体抽出技術」[2]に出会い、ナイジェリアの豊かな資源に日本の技術を組み合わせることで、シアバター産業を大きく変えられると確信しました。

私たちは、世界基準の高品質な製品を生み出すだけでなく、シアバター生産の現場で働く女性たちが、より高い収入や持続可能な仕事、そして誇りを持てる環境をつくることを目指しています。日本のイノベーションとアフリカの起業家精神を融合させ、地域社会の力を引き出す新しい成長モデルを実現したいと考えています。


ナイジェリアでシアバター生産に従事する女性たち

 

2. 事業内容

SHEAPURE LTDでは、日本の最先端技術「超臨界流体抽出法」と、アフリカの農村女性たちの知識や資源を活かした、持続可能なシアバターの生産体制づくりに取り組んでいます。

具体的には、国際基準を満たす高品質なシアバターや関連製品を食品・化粧品・医薬品向けに製造するとともに、廃棄物の削減や環境への配慮にも力を入れています。地域に加工拠点を設け、女性たちへの技術研修を行い、グローバル市場への直接販売を目指すことで、生産者の収入アップやフェアトレードの推進、アフリカ産シアの国際競争力向上につなげます。

社会的なインパクトと商業的な持続可能性を両立し、テクノロジーと地域コミュニティの力を合わせた新しいモデルを創出します。

QUESTアイデアコンペでのSHEAPURE LTDのプレゼンテーション

 

3. 誰と実施しようとしているのか(共創パートナーの紹介)

SHEAPURE LTDは、東北大学渡辺研究室および株式会社アクロス東北と連携しています。渡辺研究室は「超臨界流体抽出技術」の研究・技術移転を担当し、株式会社アクロス東北はパイロットプラントの設計やコスト分析、ライフサイクルアセスメント(LCA)などを支援しています。

これらのパートナーと共に、科学・技術・産業の基盤を築き、プロジェクトの実現と拡大を目指しています。

SHEAPURE LTDと東北大学渡辺研究室のメンバー

 

4. 一般の方へのご協力のお願い

SHEAPURE LTDは、持続可能で高品質なシアバター製品の生産と地域コミュニティの活性化を目指しています。このビジョンに共感いただける皆さまのご協力を、心よりお待ちしています。

具体的には、下記のようなご支援・ご協力を求めています。

  • 高品質で倫理的に調達されたシアバターや原材料を自社製品に活用したい化粧品・製薬会社などとの事業連携
  • パイロットプラント設置や技術強化、地元女性への研修拡充のための資金支援
  • プロセスの最適化やライフサイクルアセスメント(LCA)、持続可能な包装など技術面でのご協力
  • グローバル市場や社会的責任投資家とのネットワーク構築、広報活動へのご協力

皆さまとのパートナーシップを通じて、産業界に高品質な原材料を提供するとともに、地域社会のエンパワーメントと環境に配慮した生産を実現していきます。

SHEAPURE LTDのAisha Rilwanu氏とナイジェリアの女性たち

 

[1] JICA Website (Application Closed on Jan 12th, 2025) Call for Application: Social Innovator Hub Incubation Program  https://www.jica.go.jp/english/activities/issues/private_sec/information/2024/sih2025_2nd.html

[2] JICA Website [11] Dr. Masaru Watanabe
https://www.jica.go.jp/english/activities/issues/private_sec/SIH2025_dr_watanabe.html

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採択企業⑦ 日・モンゴル連携による成層圏気球実験プロジェクト-草原を舞台に広がる宇宙教育の新展開 独立行政法人国立高等専門学校機構 香川高等専門学校×モンゴル日本共同技術高等学校

1. なぜこの事業に取り組もうとしているのか

成層圏気球実験は、複数の大学や高等専門学校(以下「高専」)が連携して実施できる教育・研究活動です。ロケット打ち上げとは異なり宇宙空間には到達しませんが、上空約30kmの成層圏まで到達できます。気球は気圧の低下により上空で膨張・破裂し、その後、観測機材(ペイロード)は取り付けたパラシュートで地上に落下します。この実験は、宇宙開発の登竜門として位置付けられています。

 日本では国土の約7割が山間部で、海に囲まれているため、ペイロードの回収地点が洋上になることが多くあります。しかし、海面着水後は海流による移動が頻発し、回収が困難になる場合があります。また、気象条件の変化によって山間部に落下し、樹木に引っかかるケースもあり、回収率の低さが課題です。一方、モンゴルは国土の大部分が草原であるため、安全かつ高い回収率で成層圏気球実験が可能です。

(a) 気球放球準備 (b) 実験環境の様子 (c) 草原でのペイロード回収

図1 モンゴルでの成層圏気球実験の様子(20256月)


このような背景から、本事業では日本とモンゴル双方の強みを活かした「日モンゴル宇宙教育連携プロジェクト」を実施します。香川高等専門学校(以下「香川高専」)は、これまで培った成層圏気球実験のノウハウを活かし、基本的なペイロードキットをモンゴル工業技術大学高専・モンゴル科学技術大学付属高専・新モンゴル高専(以下,モンゴル3高専)に提供します。一方、モンゴル3高専は実験環境を提供し、両者の協力により、安全で効率的な成層圏気球実験の実現を目指します。

 

2. 事業内容

   (a) 内部構造  (b) 外観

図2 香川高専が開発した成層圏気球実験用ペイロード(左:内部構造、右:外観)


図2は、香川高専が開発した成層圏気球実験用ペイロードです。搭載されたマイコンと各種センサにより、気温・湿度・気圧・位置情報・時刻などのデータを取得し、LoRaモジュール(小型無線機)を用いて地上へデータを送信します。受信側では、上空で観測したデータをリアルタイムで受信できます。

 


図3 ペイロードが成層圏から撮影した写真(20256月)


また、図3は20256月にモンゴルで実施した予備実験時に成層圏から撮影した写真です。
本事業では、モンゴル3高専の高専生を対象に、12月に香川高専でペイロードの利用方法に関するワークショップを開催します。その後、提供するペイロードキットを基盤として、各高専で独自のミッションを企画・検討し、20263月にモンゴルで成層圏気球実験を実施します。
さらに、モンゴル語によるペイロードキットの利用マニュアルを整備し、モンゴル3高専の学生がより容易に活用できるよう工夫します。

 

3. 誰と実施しようとしているのか(共創パートナーの紹介)

図4 ウランバートルに所在するモンゴルの3高専
高専機構HPより引用( https://www.kosen-k.go.jp/global/mongolia 


ウランバートルに所在する3つの高等専門学校(モンゴル工業技術大学付属高専、モンゴル科学技術大学付属高専、新モンゴル高専)と連携し、成層圏気球実験を推進します。各校の参加希望学生に対してワークショップの開催とペイロードキットの提供を行い、成層圏気球実験に必要な基礎技術の習得を支援します。さらに、本取り組みを通じて将来的な衛星開発への関心と機運の醸成を目指します。

 

4. 一般の方へのご協力のお願い

日モンゴル共同気球実験は、例年3月に実施され、希望する大学や高等専門学校の学生が参加しています。本実証実験への参加を希望される団体には、ペイロードキットの利用方法に関するレクチャーの提供も可能です。日モンゴル間の宇宙教育に参画を希望される団体がありましたら、ぜひご相談ください。本取り組みは、国際共同教育の優れた実践事例となると考えています。

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