共創テーマ名
食品廃棄物の亜臨界水前処理によるミズアブ(BSFL)からのバイオ油抽出
(マレーシア日本国際工科院の技術シーズ×日本企業による社会実装)
対象国・地域
マレーシア
課題
マレーシア日本国際工科院(MJIIT)は日馬首脳間合意に基づき2011年に開学した大学であり、日本型工学教育や日本的労働倫理を理解する高度人材育成を行う大学として高い評価を受けるとともに、本邦大学・企業との間で数多くの共同事業が実施されている。MJIITでは多様な研究シーズが蓄積されているが、これらの研究シーズの実用化・社会実装が課題となっている。そのため、QUESTを通じてMJIITの研究シーズと日本企業のマッチングを行い、製品化・事業化(スタートアップ育成含む)を推進する。
今回のQUESTにおいて日本企業との共創を図る具体的な研究シーズとして、MJIITは「食品廃棄物の亜臨界水前処理によるアメリカミズアブ(BSFL)幼虫の成長促進とバイオ燃料抽出」を提案する。
マレーシアにおいては経済成長に伴い、大量の食品廃棄物が排出されているが、従来の埋立処理では環境負荷が大きくなることから、食品廃棄物の適正処理と有効活用が求められている。
アメリカミズアブ幼虫(BSFL: Black Soldier Fly Larvae)は有機廃棄物を高速で分解して資源化することから、①幼虫バイオマス(動物飼料)、②フラス(有機肥料)、③抽出油(バイオ燃料・医療品利用)の産出など、循環型バイオエコノミー構築に有用な昆虫であることが知られている。
MJIITでは上記のうち、③BSFLによるバイオ抽出油産出の効率・品質を上げるために、食品廃棄物の亜臨界水前処理を行う研究を進めている。具体的には、食品廃棄物を未処理状態でBSFLに与えた場合、BSFLの成長やバイオ油転換の効率を阻害されるが、亜臨界水前処理(※)を行うことにより、BSFL の成長や、体内に蓄積される有用な脂肪酸(ラウリン酸)の量を増加させることが研究の結果判明している。今回のQUESTにおいては、関連技術を持つ日本企業とMJIITの共創を通じて、食品廃棄物の亜臨界水前処理によるBSFL抽出油の収量・品質向上のための技術の確立を目指す。
(※)亜臨界水前処理:水を高温(約180〜250°C)・高圧下に置き、液体のまま”亜臨界状態”にした水で有機物を分解する前処理技術。
実証検証のイメージ
PoCでは、MJIITと日本企業の共創を通じて、食品廃棄物を亜臨界水で前処理することでBSFLの成長性能と油収率を向上させることを目的とした実証試験を行う。具体的には三つの領域での実証実験を行う。
(1) Zone 1: 入力原料と基準性能
家庭・市場・食堂など多様な由来を持つ食品廃棄物を投入する。これらの廃棄物は組成が不均一であるため、異物除去・均質化・サイズ調整を行い、BSFL飼育に適した状態に整える。基準比較として、未処理の生食品廃棄物をそのままBSFLに給与する既存方式も評価する。
(2) Zone 2: 亜臨界水処理を活用した技術革新
本PoCの中心である 亜臨界水処理では、温度 180–250°C、滞留時間 10–30分 の条件下で、化学薬品を使わず食品廃棄物を処理する技術を確立する。
(3) Zone 3: BSFL幼虫への変換と最終産出物
亜臨界水処理後の栄養価強化原料を用いてBSFLを飼育することにより、①BSFL飼育性能の向上、②BSFLバイオマス増加、③BSFL油の抽出効率向上を図る。
上記POCを通じて、亜臨界水前処理により食品廃棄物の資源化を高度化し、BSFLの 生育効率・バイオマス量・油収率(特にラウリン酸含有)を向上させることを実証する。
期待する実績・専門性
① ベンチャービルダー/技術商社/TLOなど、大学が持つ研究シーズの市場性や事業化可能性を評価し、実用化・創業を支援した実績や専門性。
② ベンチャーキャピタルなど、大学が持つ研究シーズの事業化段階への資金提供や事業戦略策定・経営支援を行った実績・専門性。
③ 上記の研究シーズと同分野における製品開発・事業を行っており、製品の改善・新商品の開発のために関連する研究シーズの開拓を行っている日本企業。
※ただし、上記の課題解決に繋がるものであれば期待している実績・専門性以外も受け付けます。
JICAからご提供できること
- MJIITで実施中の技術協力プロジェクト専門家によるMJIITとの繋ぎ役・側面支援
- マレーシア省庁・政府機関、在マレーシアの日本人商工会や政府関係組織等との繋ぎ役
リバースピッチ予定
福岡(対面)・東京(対面とオンライン発表)

