採択企業紹介③ 日本発の発達支援とAI技術で切り拓く、ベトナムのこどもたちに未来を届ける共創プロジェクト – NPO法人発達わんぱく会×エフバイタル株式会社

ベトナムのこどもたちへの支援とそれを撮影する様子

 

1. 共創事業立ち上げへの思い

私は、これまでベトナムの発達障害のあるこどもたちと関わる中で、その素直で愛らしい姿に強く惹かれてきました。しかし、日本では当たり前に受けられる発達支援が、ベトナムではほとんど届いていないという現実に直面しています。保護者の方々は、わが子の成長や将来に大きな不安を抱えながらも、どこに相談し、どのような支援を受ければよいか分からず、途方に暮れている方が多いと感じています。

病院や大学、そして保護者自身が療育施設を立ち上げていますが、施設数はまだ少なく、専門的な知識を持つ人材も圧倒的に不足しています。効果的かつ効率的に支援者を育成する仕組みの導入は、極めて重要です。

発達わんぱく会は、日本の発達支援の現場で実践を重ね、人材育成の仕組みを磨いてきました。エフバイタルは、新しいAI動画解析技術を開発し、発達障害のある幼児の発達状態を「見える化」することで、療育現場での効果的かつ効率的なアセスメントを可能にします。

日本で培った専門性と最新技術を組み合わせ、ベトナム現地の支援者が自律的に子どもと保護者を支えられる社会の実現にチャレンジします。

 

2. 共創事業内容

本事業では、発達わんぱく会が日本で15年にわたり培ってきた発達支援の実践ノウハウと、エフバイタルが開発したAI動画解析技術「Baby Track®」を活用し、ベトナムの療育機関・支援機関と共に、発達障害のある子どもたちのための新たな支援の仕組みを共創します。目指すのは、現地の支援者が自律的かつ継続的に子どもと保護者を支えられる体制の構築です。

具体的には、ベトナム・ハノイの特別支援機関を拠点とし、心理士・保育士の養成機関と連携してPoC(実証研究)を実施します。まず、現地支援者や学生を対象に発達支援に必要な基礎知識の講義を行い、その後、アセスメントや支援計画の作成を学ぶ実習に取り組みます。さらに、AI動画解析デバイスを活用して療育セッションを撮影・解析し、子どもの発達状態を見える化し、この解析結果をもとに、支援者自身が実践を振り返り、支援の質を高める仕組みを導入します。

また、困難な事例への対応力を高めるため、現地支援者と発達わんぱく会の専門職が共同でケース検討を行います。エフバイタルのAI技術による定量的な発達データと、日本で蓄積された質的な支援ノウハウを組み合わせることで、短期間で効果的な人材育成を実現します。

最終的には、このモデルをベトナム国内の特別支援機関ネットワークへと展開し、3年間で1万人の子どもと2万人の保護者に質の高い発達支援を届けることを目指します。

ベトナム ハノイでの学生向けの講義の様子

 

3. 共創パートナーの紹介

本事業は、日本とベトナムの複数の機関が連携して取り組みます。エフバイタル社は、特許を有するAI解析デバイスを提供し、子どもの発達状態を客観的に可視化し、支援者に有用な情報を提示する役割を担います。また、ベトナムの特別支援機関は、子どもや家庭を対象とした実践の場として重要な役割を果たし、実際の支援活動と技術を結び付ける基盤となります。さらに、ハノイ医科大学は心理士養成課程を活かし、将来の支援人材の育成に寄与します。これらのパートナーがそれぞれの強みを持ち寄ることで、先進的な技術と実践的な教育が融合し、現地に即した実効性の高い支援と人材育成のスキームを確立していきます。

ベトナムホアビン省 自閉症向け施設でのイベントの様子

 

4. 一般の方へのメッセージ・協力依頼

この事業は、ベトナムに暮らす発達障害のある子どもたちとその家族が、安心して暮らし、のびのびと成長できる社会を実現するための挑戦です。現地では支援体制が十分に整っておらず、保護者は深い不安を抱えながら日々を過ごしています。私たちは、日本で培った発達支援の専門性とAI動画解析技術を組み合わせ、現地の支援者が自律的に子どもと保護者を支えられる仕組みづくりに取り組んでいます。

この活動を成功させるためには、より多くの方々のご協力が必要です。ぜひ私たちと一緒に、ベトナムの子どもたちの未来のためにご支援・ご協力をお願いいたします。現地での活動に直接関わっていただくことはもちろん、興味のある方をご紹介いただいたり、周囲への広報や情報拡散、寄付など、さまざまな形での応援も大変心強いです。皆さま一人ひとりのお力が、この事業を大きく前に進めます。

カテゴリー: News

採択事業紹介② ガラパゴスから世界へ 生物多様性と地域経済を守る挑戦 – 株式会社坂ノ途中×株式会社バイオーム

アプリBiomeを使った環境教育ワークショップの様子(ボリビア)

 

1.なぜこの事業に取り組もうとしているのか(事業立ち上げの思い)

地球規模で生物多様性の損失が加速しており、このままでは食料や水資源、気候の安定など、人類の生存基盤が大きく損なわれる可能性があります。その影響として、年間44兆ドル規模の自然資本の損失が発生する恐れがあるとも指摘されています。
エクアドル共和国に位置するガラパゴス諸島は、世界遺産であり、約9,000種の固有種を有する生物多様性のホットスポットとして知られています。しかし、外来種の侵入、観光圧力、農地拡大、気候変動といった複合的な要因により、UNESCOからも「世界で最も脆弱な自然遺産の一つ」と警告を受けております。特に農業分野では、持続可能性の低い農法や経済的に不安定な小規模農家の現状が、環境保全と地域経済の両面において負の影響を及ぼしている状況です。
こうした背景を踏まえ、環境保全と生計向上を同時に実現するモデルの構築が求められております。本事業では、ガラパゴスのような象徴的な地域において、コーヒー生産を対象としたアグロフォレストリー(森林農業)の手法を活用し、生物多様性保全型の農業モデルを実証いたします。この取り組みを通じて、科学的データを伴う成果を示し、他の島嶼地域や農村地域にも展開可能なモデルを構築することで、生物多様性保全と小規模農家の収入向上を両立する未来を目指してまいります。

 

ガラパゴスの農園の空中写真

 

2. 何を実施しようとしているのか(事業内容)

本事業では、エクアドル共和国ガラパゴス諸島の小規模コーヒー農家を対象に、アグロフォレストリー型コーヒー生産を導入し、その効果を科学的に検証するPoC(概念実証)を実施いたします。
具体的には、株式会社バイオームが独自に開発した生物多様性モニタリングアプリを活用し、希少種の出現状況や鳥類・アリ・哺乳類などの指標種数、植生の多様性や階層構造、シェードカバー率、緑地連続性など、複数の指標を定量的に記録いたします。これにより、アグロフォレストリーが生物多様性に与える貢献を可視化することを目指します。
また、生産されたコーヒーについては、株式会社坂ノ途中が「生物多様性に貢献するコーヒー」としてブランディングを行い、日本国内のコーヒーロースターに販売します。この取り組みにより、小規模農家は安定した収益を得ると同時に、生物多様性保全に主体的に関わることが可能となります。
最終的には、このモデルを同様の課題を抱える生物多様性ホットスポットへ横展開し、環境保全と経済発展が両立する仕組みを広げていくことを目指しています。

 

アプリ使用シーン

コーヒーを乾燥させている様子

 

3. 誰と実施しようとしているのか(共創パートナーの紹介)

本事業は、京都発のスタートアップ企業2社により実施されます。
株式会社坂ノ途中は、日本国内において環境負荷の少ない農産物の販売を手掛けるとともに、海外から仕入れたスペシャルティコーヒーを日本のロースターに販売する事業を展開しています。同社は、持続可能な農業の推進や小規模農家支援に関する豊富な実績を有しており、エクアドルの現地パートナーや農園とのネットワークも保有しております。
株式会社バイオームは、独自の名前判定AIを活用した生物多様性モニタリング技術を有しており、スマートフォンを活用した簡易計測から高度なデータ解析まで幅広く対応可能です。同社は既にボリビアなど南米地域での導入実績があり、アプリのスペイン語対応も進めているため、ガラパゴス諸島でのフィールド実装において高い即応性を発揮できると考えています。

 

4. 一般の方への協力依頼等があれば

本事業は、ガラパゴス諸島という世界的にも象徴的な地域において、生物多様性保全と小規模農家の生計向上を同時に実現する挑戦的な取り組みです。このモデルを確立するためには、日本および国際社会からの資金的・技術的・市場的な支援が不可欠であると考えています。
特に事業の横展開にあたっては、国際機関や企業の皆様に対し、助成金や協賛による資金提供、サステナブルコーヒーの販路拡大へのご参画などを通じた長期的なご支援をお願い申し上げます。
ガラパゴス諸島での成功は、世界中の同様の課題を抱える地域に波及効果をもたらす可能性を秘めております。また、消費者一人ひとりの選択が、環境保全と地域発展の未来を形づくる力となります。この循環に多くの方々にご参加いただけますよう、心よりお願い申し上げます。

カテゴリー: News

採択企業紹介① 日本式医療と先端技術で切り拓く、バングラデシュの心疾患ケア革命-株式会社ジェネラス×株式会社MITAS Medical

株式会社ジェネラス 伊藤 晃氏 途上国での診療の様子

 

1. 共創事業立ち上げへの思い

私たちはこれまで、バングラデシュでのリハビリテーションや保健分野の調査を重ねる中で、日本の医療サービスが現地でも大きな価値を提供できると確信しました。
特に心血管疾患は、現地で主要な死因の一つであり、患者の生活の質を大きく損なうだけでなく、術後の健康に深刻な影響を及ぼしています。しかし、適切なフォローアップやリハビリの機会が乏しく、それが再発や早期死亡につながっている現状を目の当たりにし、「何とかしなければ」という強い使命感を抱くようになりました。

今回、Questという実効性のあるチャレンジ機会に出会い、温めてきた構想を実行に移す後押しを得ました。また、調査を進める中で、医療インフラの整備が進む一方で、多くの人々が正しい医療知識や健康習慣を持たない現状にも課題を感じています。
私たちは、バングラデシュで適切な健康寿命を整えることが、患者やその家族、そして地域社会全体が笑顔で暮らせる未来につながると信じています。それこそが、この事業に情熱を注ぐ理由です。

 

2. 共創事業内容

私たちは、バングラデシュにおける心疾患患者、特に術後患者のケア体制を強化し、非都市部でも機能する心疾患検診支援システムを確立します。
主提案企業である私たちは、日本式急性期心臓リハビリテーションの知見を基盤に、現地医療機関の実情に合わせた包括的ケアモデルを設計。さらに、自社開発の脈拍および心電図を測定できる先端ウェアラブルデバイスを提供し、院内サービスのみならず、院外の都市部・非都市部を問わず患者の状態を継続的にモニタリングし、潜在患者のリスクを早期発見できる環境を構築します。

共創企業は、取得した生体データをクラウド上で一元管理し、解析・共有を容易にするICTシステムを提供します。このシステムにより、医療従事者はいつでも安全かつ効率的に患者データへアクセスでき、診療や経過観察の質を向上させることが可能になります。

本事業を通じて、術後の再発予防や早期発見を実現し、患者の健康寿命を延ばすとともに、医療従事者の負担軽減と地域コミュニティ全体の医療水準向上を目指します。

 

3. 共創パートナーの紹介


株式会社MITAS Medicalの途上国での活動の様子

MITAS Medicalは、日本発のヘルスケアスタートアップとして、スマートフォン対応のモバイル型医療機器や遠隔眼科相談サービスシステムを通じ、世界中で誰もが質の高い診療を受けられる環境づくりに取り組んでいます。
遠隔診療と医療データ活用を強みとし、今回の事業では現地医療機関と密接に連携し、心疾患患者のフォローアップ体制や検診環境を都市部・地方問わず強化していきます。
本事業を通じ、日本の技術と現地の知見を融合し、患者の健康寿命延伸と地域社会全体の医療水準向上を目指します。

 

4. 一般の方へのメッセージ・協力依頼

本事業は、製品の技術進歩だけでなく、「現地の人々の生活を変えたい・良くしたい」という私たちや共創企業の思いによって形になっています。
バングラデシュでの導入・普及を加速させるため、以下の分野でのご協力を広く呼びかけます:

  • 資金的支援: 製品の品質改良、輸送、現地スタッフ教育、遠隔診療環境整備などに活用します。
  • 人的協力: 医療・リハビリ・IT分野の専門家や教育プログラム開発に携わる人材。
  • 連携パートナー: 技術やノウハウを共有し、事業を共に推進できる企業・大学・自治体など。

皆さまの協力は、心疾患患者や潜在的な心疾患患者の早期発見だけでなく、バングラデシュで十分に浸透していない「リハビリテーションの重要性」を広める活動にも直結します。現地では、心疾患や脳梗塞など重篤な疾患を発症しても、適切なリハビリを受けられず社会から離脱せざるを得ないケースが多くあります。本事業はこの現状を変え、患者が日常生活や社会活動に復帰できる環境づくりを後押しします。

これらの取り組みは、地域社会の医療水準向上へとつながり、皆さまの力が国境を越えて重要な社会実装を進める原動力となります。
どうぞ、日本の優れた医療技術を途上国に還元するこの挑戦に、共にご参加ください。

 

■ コンタクト先

伊藤 晃/ Akira Ito
株式会社ジェネラス/  Generous Co., Ltd.
460-0012  愛知県名古屋市中区千代田二丁目16番28号 グラシア2号館4階
リハビリテーション・予防医学研究部門/ Department of Rehabilitation and Preventive Medical Research
主任研究員・理学療法士/ Principal Investigator  ・ Physical Therapist
アドレス:ak-itou@generous.co.jp
携帯番号:070-3348-7632

カテゴリー: News

QUESTアイデアコンペ最終ピッチ審査会の動画が公開されました

2025年7月31日東京及び愛知(名古屋)で開催されたQUESTアイデアコンペ最終ピッチ審査会のイベント動画が公開されました。是非ご覧ください!

 

■QUESTアイデアコンペ最終ピッチ審査会(オープニング~ピッチ①)

https://youtu.be/8Id2Bo7Rhp4

■QUESTアイデアコンペ最終ピッチ審査会(ピッチ②)

https://youtu.be/BvNGPlHeInE

■QUESTアイデアコンペ最終ピッチ審査会(ピッチ③)

https://youtu.be/l51Bdi1HS7w

■QUESTアイデアコンペ最終ピッチ審査会(ピッチ④~クロージング)

https://youtu.be/4wye0rzkY8I

カテゴリー: News

JICA共創×革新プログラム「QUEST」ローンチイベント(東京・名古屋)を開催しました!

2025年5月8日(東京)、5月15日(愛知)にて、JICA共創×革新プログラム「QUEST」ローンチイベントが開催されました。2日間合わせて300名以上、日本及び海外の参加者が集まり、盛況のうちに幕を閉じました。

東京でのトークセッション①「アフリカ発グローバルイノベーション ~世界展開を狙うアフリカビジネスモデル~」では、Verod-Kepple Africa Venturesの品田諭志氏とその出資先でエジプトスタートップのTagaddod Co-founder & CEOのNour El-Assal氏、三井住友信託銀行インパクトエクイティ投資部の長崎智裕氏をお呼びし、アフリカでの最新のイノベーションの状況についてお話いただきました。トークセッション②「インドのスタートアップエコシステムの今とオープンイノベーション機会」インドからはT-Hub (インド最大のインキュベーション施設)CEOのKavikrut氏をお呼びし、新興国におけるイノベーション事例や共創ニーズについてプレゼンテーションいただきました。多くの参加者にとって、新興国ビジネスの可能性や最新のイノベーション事情について新たな発見をもたらす時間となりました。

トークセッション③では、人間開発部 次長  (高等教育・社会保障グループ長)上田大輔氏から、「途上国の大学との国際頭脳循環~日本の産学官とのコラボレーション~」、経済開発部民間セクター開発グループの狩野美穂氏から「Project NINJAで描く日本企業と海外スタートアップの共創地図」、ガバナンス・平和構築部 平和構築室の大井綾子氏から「平和構築の課題と共創」についてプレゼンテーションが行われ、産学官、民間セクター開発、平和構築のテーマにおけるJICA事業との共創の考え方や事例について理解を深める時間となりました。

その後、ネットワーキングでは、多くの参加者が積極的な議論や交流が行われました。

また2025年5月15日、日本最大級のオープンイノベーション拠点であるSTATION Ai(愛知県名古屋市)において、「JICA共創×革新プログラムQUESTローンチイベント」が開催されました。本イベントには、会場に約70名、オンラインで約80名の参加者が集まり、盛況のうちに幕を閉じました。

「共創×革新プログラムQUESTローンチイベント@愛知」を開催しました!~愛知発!社会課題解決に貢献するクロスボーダー共創~ | 日本国内での取り組み – JICA

次回は6月にマッチングイベントが予定されています。JICAは今後、QUESTを通じて、国内外の企業・自治体・教育機関・市民団体関係者等との共創をさらに加速させてまいります。

カテゴリー: News